≪タカ カスタム・リターンズそしてフォーエヴァー≫

文・写真:仲代光希

タカ・カスタムR・Fタイプの製作及びデザインを担当した仲代光希が一般にはあまり知られていない「タカ カスタムの実像」についてレポートします。
その他のタカ&ユージの愛用銃はコチラをタカボディーに関しましてはコチラご参照下さい。




設定銃FタイプVer.2.1(スターライトブルー・フィニッシュ)



「あぶない刑事・シリーズ」でタカの愛用銃となったM1911スタイルのカスタムガン通称『タカ・カスタム』は大きく分けて
「リターンズ」で使われた『Rタイプ』、「フォーエヴァー」で使用された『Fタイプ』、「まだまだ あぶない刑事」の『05タイプ』
の3つに分類出来ます。ここでは私が全てを製作しデザインにも深く関わった『Rタイプ』と『Fタイプ』を取り上げます。


その「タカ・カスタム」で皆さんが思い浮かべるのは専門誌等に紹介された我々が『設定銃』と呼ぶ美しくスターライトブルーに
染め上げられ、クッキリと刻印の彫られた設定銃でしょう。


『設定銃』・アップ用『本ダミー』とは私と納富氏(BIG SHOT主宰)との打合時にしばしば使われる用語であり、ここでの話を
続けて行く上でも必要となると思うので、本題に入る前にその説明をしておきましょう。

撮影で使用されるモデルガンをプロップガンと呼びます。これは納富氏が提唱した用語でそれまでは「ステージガン」等と良く
分らない言い方がされていました。しかしこの辺の話題は今回関係が薄いので割愛します。

基本的に撮影時にはプロップガンは同じモデルが2丁用意されます。『発砲用(銃)』と『ダミー(銃)』です。使用頻度が少ない
プロップは『発砲用』が『ダミー』を兼ねる場合もあります。『発砲用』とはその名が示す通り発砲シーンで発火させるモデルで
細部に手が入れられ、アップにも耐えられる様な仕上も施されています。特にオートマッチックのフロント・リアサイトはブロー
バックの衝撃で飛び難い様、又飛んだとして役者さんを傷つける事が最小限で済むように樹脂製で作る場合が多いのです。

『ダミー』とは発砲シーン以外で使われるプロップで『発砲用』に準じた仕上の場合も多く、役者さんが身に付けたホルスターに
入れているのもこのタイプです。当然『発砲銃』が壊れては撮影に支障をきたす為に存在する『ダミー銃』ですが、発砲シーン
にしか登場しない『発砲銃』よりは使用頻度は高いプロップガンです。


一番作り込まれているのが『発砲用』であると前述したが必ずしもそうでない場合があります。特に「デベル」の様なカット
ダウンするカスタムはディティールに拘ると発火時の強度に不安が生じます。その様な時『発砲銃』はリアルなフォルムを犠牲
にしても強度を優先させる事となります。その代わりディティール重視したアップ専用の『本ダミー』を製作するのです。

しかし凝った『本ダミー』を複数作る事は時間的にも予算的にも厳しい場合があるので『本ダミー』程作り込まずに発砲銃と
同等の外観を持つ『中ダミー(常用銃)』と言うタイプも作られる様になりました。

この様に当初ノーマルに近いモデルガンをプロップとして使用していた頃は『発砲用』『ダミー』の二種で済んでいたのが、
手の込んだカスタムを使う様になると共に、プロップの種類も増えました。それでも役者さんと共にアップになる機会の多い
発砲銃が「花形」である事に変わりは無いでしょう。

さて、話を『タカ・カスタム』に戻すと「Rタイプ」「Fタイプ」共に『設定銃』は存在しましたが、結果的には画面に殆ど登場せず
代わりに『発砲銃』が大活躍しました。この先は「Rタイプ」と「Fタイプに」分けて話を進めて行きます




【タカ・カスタム Rタイプ】

「リターンズ」で使用された『Rタイプ』は設定銃ではロングサムセフティー(写真R1)を装備し「シリーズ80の刻印」が入り
スライド側面がブルーイングされていましたが、『発砲銃』に刻印が入っているタイプは存在しません。スライドのフロント
セレーションの位置も『設定銃』(写真R2)と『発砲銃』(写真R3)では微妙に違いがあります。そして『発砲銃』にはタイプAと
タイプBの二種が存在します。詳細は表に纏めました。
(写真R1) (写真R2) (写真R3) (写真R4)


話が前後してしまいますが、タカ・カスタムをデザインする際のテーマは「ノーマルのイメージを損なわない事」でした。
納富氏との打ち合わせの段階で「ご本人の希望はシンプルなガバメントのラバーグリップ付だが、全くのノーマルと言う
訳にはいかないでしょう。」との結論に達してはいたものの、役者さんの意見を尊重しない訳には行かなったからです。


そう言ったオリジナリティーを出すのは難しい中、私が一番拘ったのがメインスプリングハウジングの形状でした。米国の
カスタム・ナイフメーカーのラブレス氏が製作したカスタム・コマンダーのデザインを元に改良を加えステッピングを彫込ん
で完成させました。(写真R4)

そのハウジングを搭載した「タカ カスタム」の第一弾の「Rタイプ」は、私のデザインがそのまま採用される事となったのです。




【タカ カスタム Fタイプ】

「フォーエヴァー」のお話を伺った当初、勝手に『Rタイプ』と同じデザインで行くものとばかり思っていた私は、納富氏から
「今回はデザインを少し変えたい。」と言われた時は少し驚きました。しかし、その後の打ち合わせで「スライドトップの全面
ステッピング」・「スライドフロントセレーションの位置変更」が決定し、その他は一任して頂ける事となりました。

その結果、完成したプロトタイプのバージョン2.0は今回も役者さんの希望は「シンプルに」だった為、フロント・リアサイトが
小型化されて、バージョン2.1として採用されました。

今回の『Fタイプ』の最大の特徴はオリジナルデザインの「ブリリアント・サイト(写真F1)」と『Rタイプ』のハウジングを更に
進化させた『ブリリアント・ハウジング(写真F2)』です。ハンマーのデザイン(写真F3)も独自のモノで、サムセーフティの
面取り(同F3)も施しました。仕上はスライド・フレーム共に側面をブルーイングしました。そしてスライドストップのチェッカリング
(写真F4)グリップセーフティーのアンダーカット(写真F3)トリガーガードの面取り及びトリガースムージング加工(写真F5)
ワイドマグウエル加工(写真F6)等は『発砲銃』では省かれました。その他各タイプ別の細かな仕様の違いはコチラの表
ご参照下さい。
(写真F1)
(写真F4) (写真F2) (写真F3)
(写真F5) (写真F6)





GMタカカスタムFタイプ

GMタカカスタムRタイプ


以上『タカ カスタム』についてタイプ別に纏めましたが、「かつてこれだけのカスタムを施したGMを使用した作品があった
だろうか?」と言うのが現在の率直な感想です。それもこの「シリーズ」の人気の高さがなしえる業なのでしょう。



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